メタリカ歌詞勝手に解釈論
01. Blackened
02. ...And Justice For All
03. Eye Of The Beholder
04. One
05. The Shortest Straw
06. Harvester Of Sorrow
07. The Frayed Ends Of Sanity
08. To Live Is To Die
09. Dyers Eve
Blackened
「バケツリレー、水よこせぇ~!!」の空耳でお馴染みのこの曲(笑
メタリカ詩集では環境破壊の歌とされていますが、
核戦争後の世界を歌った歌とする方がしっくりくるでしょう。
そこでポイントとなる単語は「blister」。
「泡立つ」と訳してしまうと汚れた河川をイメージしてしまいますが、
辞書的にも「水ぶくれ/火ぶくれになる」という解釈が正解だと思います。
この解釈だと被爆者の火ぶくれした皮膚が連想され、
Fire~からのくだりと意味がつながりますしね。
ただ、そう解釈すると「nicotine」の意味がどうも
浮いている気もしないでもないけど。。
まぁ二重の意味でとれるってことはそれはそれで
スゴイ考えられた歌詞なのかもしれませんね。(とお茶を濁してみる)
というわけでかなり意訳も入っているかもしれませんが自分で訳してみました。
意外と中間部で単語が羅列しているところを訳すのが難しかったりする。。
この次のアルバムとなる『METALLICA』以降、歌詞の内容が内省的であるのに対して
このアルバムでは社会的な色合いの濃い歌詞がたくさん見受けられます。
使われる単語もなじみのない難解なものが多く辞書が手離せません(笑
...AND JUSTICE FOR ALL
この曲は同名映画である『...And Justice For All』(邦題:ジャスティス)を
ヒントに書かれた曲と言われています。
このアル・パチーノ主演の映画は権力を振りかざす横暴な判事と対決する
弁護士を描いた社会派ドラマです。
この曲中に出てくる「Lady of justice」とはアルバムジャケットに描かれた
ギリシャ神話の神テミスのことで、手にしている剣は勇気と正義を、
天秤は和と衡平を象徴しています。
さらに目隠しをしているのは偏見などのどんな外的要因にも左右されない
ことを象徴しています。
しかし、ジャケットに描かれた女神テミスは縄で縛られ、
お金によってその天秤は傾けられています。
まさしくこの曲のイメージそのものですね。
歌詞中に出てくるおもしろい表現に「green」と「red tape」があります。
「green」はドル紙幣の色ということで「green back」でそのまま
ドル紙幣を意味します。
一方、「red tape」はそのまま赤いテープとは普通訳しません。
公文書をとじる紐が赤かったことから「お役所仕事」とか「形式主義的」とか
「官僚的で面倒な手続き」という意味合いで訳されるようです。
これに続く「Now you're done in」の訳はわからなかったので
さこたさんの訳を参考にさせていただきました(汗
「Apathy~」から始まる節もうまく訳せない。。。う~ん、難しい!
Eye Of The Beholder
この曲は表現の自由や選択の自由について歌っています。
ちょうどこのころPMRCにより、音楽も映画で行われているような
年齢制限(レイティング)を設けるべきと主張され検閲に対する
具体的な論議が始まったという背景があります。
このあたりの背景についてはこちらや『魔獣の鋼鉄黙示録』に詳しいです。
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/month?id=26020&pg=200309
メタリカとしては「(歌詞をどうとるかは)自分自身で判断すべき」
「表現をどうとるかは検閲の代わりに個人の選択に任せられるべきだ」
という立場のようで(ジェイムズ談)、歌詞中にもそういった表現が出てきます。
日本語訳のなかで「ヤツら」としているのはPMRCはじめ、制限や検閲
などを通じて価値観を押し付けるもの総てを指しているのかなと。
最近のライヴではこの曲の一節、"Do you feel what I feel?"が
「Fade to Black」の中間でジェイムズによって叫ばれます。
この場合はライヴでの一体感を共有するものなので全然
文脈が違うと思いますが。。
One
マネージャーから渡されたダルトン・トランボーの小説
『ジョニーは戦場へ行った』(Johnny Got His Gun)をヒントに書かれた歌。
元々は社会からの断絶という究極の孤独について、曲の構想を
練っていたところから始まったそうです。
メタリカ初となるプロモーション・ビデオにも映画版『ジョニーは戦場へ行った』
のシーンが効果的に使われていますね。
「Fed through the tube that sticks in me」、CDの対訳は「政府の役人が僕を刺し殺す」
となっていたかと思いますが、原作やPVを知っていれば 「点滴を打たれている」
様子が浮かぶと思うのですが。。どうしたらこんな訳になるんだろ?
※ちなみにこの原作映画では地雷ではなく、砲弾により手足を失っています。
社会とも切り離され自分では何も出来ず、死ぬことすら出来ない
言うなればタダのウ○コ製造機と化した人間の恐怖の叫びが
曲調と相まって強烈に伝わってきます。(決して茶化してるつもりはありません)
ただ平和を叫ぶよりもずっと説得力と重みのある反戦歌ですね。
The Shortest Straw
いましばらく、お待ちください。m(_ _)m
Harvester Of Sorrow
いましばらく、お待ちください。m(_ _)m
The Frayed Ends Of Sanity
いましばらく、お待ちください。m(_ _)m
To Live Is To Die
ほとんどインストに近い曲ではありますが、ジェイムズが語る言葉が曲中にあります。
この言葉は、メタリカのベーシスト、故クリフ・バートンが書きためていた歌詞をクリフの死後にクリフの姉から渡され、そのなかから抜粋したものです。曲そのものもクリフが書いたパートが使用されています。
クリフが書きためていた歌詞ですが、聖書との関連を思わせる言葉が使用されています。
「pale death」は、『ヨハネの黙示録』第6章第8節の「死」は青白い馬、つまり「pale horse」に乗って現れてくるとされる記述を連想させ、「the kingdom of salvation」は『ヨハネの黙示録』20章4節から7節にある神が支配する千年王国を連想させます。
※ちなみにこの青白い馬に乗った四騎士については「Four Horsemen」で歌詞にとりあげられています。
そう考えていくとhomeは「家」や「故郷」といった意味の他に、古くは「墓場」「死に場所」の意味もあることからあいだをとって「安息の地」と訳しています。
しかし、聖書の関連までいろいろ言及しだすと日本語訳が破綻しそうなので「正直であること」を主題にして訳してみました。
短くも印象的なこの歌詞の一節、「Cannot the kingdom of salvation take me home」はクリフ最後の地であるスウェーデンにあるクリフの石碑にも刻まれています。
※訳 thingy
Dyers Eve
いましばらく、お待ちください。m(_ _)m